minstrel12092006-12-21

たましひにふれたらきつと竜の玉
にんげんに戻る白鳥の仕草かな
山眠りをりアポロンの矢を受けて
うたかたの水の底まで冬麗
冬ざれのメディチの赤き実を落とす
雪螢穹の扉の開いてゐて



読みは <竜の玉>りゅうのたま <白鳥>スワン <仕草>しぐさ <冬麗>ふゆうらら <雪螢>ゆきほたる <穹>そら


1句目 <竜の玉> まるで冬晴れの空を切り取ったようなジャノヒゲの青い実 想い出の中から立ち顕れてくるものって鮮烈 瑠璃色のラピスラズリを連想


3句目 <山眠る> 絢爛の紅葉山もいつしか眠りにつく気配 京都の山は神坂雪佳が描くような柔らかな稜線で 静穏な寝息さえ聴こえそう 眺める山によって全く異なる感覚を呼び覚ます不思議<アポロン> ギリシア神話の神さま ギリシアの神々は 恋もすれば嫉妬も 活躍は華々しく輝かしいけれど 不老不死ゆえの永遠の苦悩と表裏 そんな気がしてなりません


5句目 <冬ざれ> 荒涼と淋しい冬景色 <メディチ> フィレンツェの名門メディチ家 ダ・ヴィンチ ボッティチェリ ミケランジェロ… ルネッサンスの芸術家を庇護 一方 権謀術数が渦巻いて トスカーナには<陰謀の赤>って名前のワインもあるみたい 味わうのも勇気がいりそう^^


6句目 <雪螢> カメムシ目ワタアブラムシ科の小さな虫 冬のはじめの曇りがちの日にどこからともなくやってきて 虚空をふわふわと漂います 透明の翅に純白の綿を背負って 蒼い炎のようにひかりながら 掌に乗せるとすぐに飛べなくなってしまいます どこまでも儚い けれど 彼らに逢った日は なんだかいいことありそう♪ 綿虫 大綿 雪虫 雪婆 伊豆地方では しろばんば 


今年最後の作品upです 
サジェスチョンやメッセージを残して下さり 感謝しています
それが ひとつの原動力になっているかもしれません


削って削って 心惹かれる季語で お気に入りの情景を描く 
いつだって こんなん出来ちゃったけど… どうかなぁ って
手探り状態 自身が何処へ向かおうとしているのかさえ皆目 
きっと この命の果てまで こんな感じなんだろう
おそらく わたしを一番わかってくれる師の存在 
その師と<たたかうこころ>で 自らの弱さと<たたかうこころ>で 
より強く もっと自由に 歩んでいこう
深い霧に包まれた森の彼方から 
微かなけれど星のような まばゆい光が差している