このあたりの丘陵はいまごろ決まって 唸るような南風が吹く 遮るものがないから半端じゃない強さで遠慮なく吹く 京都市内の盆地性気候からは想像できないほどの風 嵐が丘のヒースを連想するにはやや温暖すぎるので 南仏は地中海の葡萄畠を渡る風なんてどうだろう 残念ながらシャトーはないが学研都市だけあって研究所のフシギなタワーは雨後の筍 蔦が絡まってラプンツェルの塔みたい 
このあいだ観た〝ZOO〟の中の1作を想起 とうの昔にニンゲンはみんな滅んでしまって やけに木漏れ日が清々しい 生きているのはアンドロイドのみ 己の生命時間を知るアンドロイドはヒトの心を獲得しようともがき 廃墟の都市は 緑の森に秘匿されている