寺山修司が亡くなる数年前 京都で彼の講演を聴いた 
確か京大かなにかの催しだったと記憶 講演というよりボソボソ呟く感じ ちょっとフシギな親娘が突然家に訪ねて来てねとか カフカの変身とかについてとりとめもなく話していた どこまでがホントでどこからが創作なのか 彼にとっては全てが真実なのだろう 話の内容よりも彼自身が最大の謎 当時吟遊詩人は花のOLで 身に余る初ボーナスを貰ったばかりの記念すべき日 
なぜ寺山修司だったのか 耽美的映画やステージやバレエやファンタジーを毎号特集する〝ペーパー・ムーン〟という雑誌の愛読者だった この本で寺山を知り逢ってみたかった ただの好奇心 この日の講演は主催が主催だけあって ボサボサ頭だけど賢そうな学生風男子が大半 静かな熱気があの講義室には溢れていた