prussian blue


夢の名残 




誰かの夢が漏れだしたのか
現実が夢を浸蝕しはじめたのだろうか


見つめていると 染まってしまいそう
この青に
西洋の青と呼ばれた
プルシアンブルー


それは 丁寧に 和紙に包まれた青のカタマリとして
わたしの前に顕れた
鮮やかな青
プロイセンの青 だから プルシアンブルー
失われた国の名前がついている
画布に染まると
やや落ち着いた 透明感のある青
いつしか 水色になって 
グラデーションが 綺麗に描ける 
空の青 もしくは 海の青
花の青 衣の青 ときに 髪飾りの青





井上靖の小説には 冬の海を表す言葉として登場
チュウブから搾ってなすりつけたような プルシャン・ブルウの、真冬の、陽に輝いた海の一點を見詰めた儘立ってゐましたが  <猟銃>より





なるほど〜こんなところに使ってたんだな
え〜っ! たったこれだけしか?
って オドロキの連続
ちなみに 展示されていただけで こんなにある青
露草の青=青花 藍の青=インジゴ 藍銅鉱の青=岩群青 ラピスラズリのウルトラマリン=群青 そして 合成顔料 プルシアンブルー=紺青
個人的には 目の醒めるようなウルトラマリンが好きだったりするけれど。。。







プルシアンブルー この合成顔料は 偶然から生れたらしい
1704年 ベルリンで
けれど 牛の血から青が! なんて 誰に想像できただろう
江戸時代 船に乗って はるばるやってきた
長崎奉行所の犯科帳に 
プルシアンブルーを密売した咎で 獄門。。 
ママ 獄門って? 
時代劇にあるでしょ? 市中引き回しの上 磔 獄門 って 
見たことない、、
そっかぁ〜 わたしも見たことないけど。。。

そんな記録 この文書 重文



西洋の青と伝統的な青の比較を通して 
プルシアンブルーの舶載が 
日本の青として いかに受容されていったか 




 


赤よりも貴重だったという 青の変遷
それは 
決して届かない蒼穹の青を獲得する人間の記録であり
そのあわいに見え隠れするヒトの想いを掘り起こしてゆく
廊下には 
観てきたばかりの絵の どの箇所で 
青が どのように使われているか という科学的分析
顕微鏡写真やグラフなど
これって 博物館ならでは でしょうね





今回の展示で見た 北斎の青 広重の青
プルシアンブルーって
浮世絵表現での エポック・メーキングな青だったのか〜 
フェルメールの青 マグリットの青
記憶の中の青に 思いを飛ばす 
青の発見によって 絵の中の青は変貌する
発見された青を はじめて使ってみた瞬間
画家は どんなにココロを躍らせただろう



当然のごとく 青の絵具を搾り出していた 
青について 深慮することなく 絵を愛でてきた。。。
原爆の日 敗戦の日に 平和を祈る とか言いつつ
日々
忘れてはいけないことを 忘れず 
考えるべきことを 考えているだろうか。。。





<西洋の青>  
大英博のときとは
比べものにならない空きようで
だけど 鍋島のお殿様の絵具箱なんて
めったに覗けない でしょ? 
彼のスケッチブックも必見☆^^☆




回転ドア 




西洋の青 プルシアンブルーをめぐって 
Western Blue 〜A Tour of Prussian Blue〜   
神戸市立博物館  9/2まで