minstrel12092006-12-04

フランス映画になった<薬指の標本>を観る 小川洋子の原作は未読 それがよかったのかどうなのか 冒頭から映像に惹き込まれる これは久しぶりの心地よさ ディテールにこだわりすぎるほどこだわる 匂いや見えないものの気配が濃密に感じられて 同じ作者の小説<密やかな結晶>を髣髴と 忘れたくないのに忘れなくてはいけないコトバを葬る儀式 <薬指>は傷みを伴いつつ失ったものを標本として永遠に仕舞うラボ 作者も監督もあらかじめ失われたものに惹かれて止まないのだろうか <わたし>だった主人公に監督は<イリス>と名付ける 絢爛たる虹の儚さ これもなんだか象徴的