ふたたび植物園まで足を伸ばす お彼岸のころに比べて 徐々にけれど確実に変わりゆく森 薔薇園が絢爛豪華 薔薇の実もオレンジから深い紅へ 雨のあとだから茸はざくざく 蓮は花托が沈んでゆき水面を覆っていた葉の勢いも失われつつある 枯れに向かって景を塗り替えようとしているのだ 既に飛来していた鴨の番はいまごろ翼の冬仕度だろうか 世のすべては移ろい留まるものなどひとつとしてない 蜻蛉が日溜りを旋回しては戻ってくる 見上げると空一面の鱗雲