移動中のタクシーで アナスイのお気に入りを忘れる 藤色に小さな黒の水玉 フリルが可憐で キラキラの釦で留めるクラシック なのに最新式のプチパラ 羽根のように軽い フェミニンな装いの日限定で使っていた 太陽に溶けそうだったけどスリリングで楽しい日だったから余計にショック 
持ち主を失ったパラソルの行方を想う 小川洋子的に言うと まさにモノが失われるとき記憶も消えてしまうというのか 想い出は未来を紡がない これは紛れもない事実 もしかするとすべての物語はそこから船出するのだろう