ドラマシティー〝睡れる月〟観劇日 木原敏江の〝雪紅皇子〟を友人が持参してくれた 舞台のイメージそのままだという 藤の花のシーンや特定のセリフなど確かに彼女の世界観にかなりインスパイアされたみたい 木原敏江の作品では後鳥羽上皇の時代を描いた〝風恋記〟が切なくて一等好みだけれど この雪紅皇子も滅びの儚さ美しさが色濃く出ている まさに宝塚向き 

主演の朝海ひかる 危うい狩衣の美しさ 弓を構えた立ち姿 水鳥が帰ってしまった春の空虚な水辺 けれどそこは靜かに緑藻類が増えつつある場でもある 秋のそれとはまた違った何かが生まれようとする透明感 そんな血の通った清々しさを感じる舞台人 ところで 例の〝雪紅皇子〟まだ本棚を探している
   
      弓を引く遥かの花を散らすため    吟遊詩人