リヴィエラを撃て】を越える傑作エンターテインメントは この世に皆無だということを 高村薫はラスト近く 春の驟雨に打たれる清々しさの中 確信させてくれた がしかし 最近の出遭い頭の石田衣良 運命的

ふと手に取った【エンジェル】から始まって【池袋ウェストゲートパーク】シリーズ【うつくしい子ども】を経て【波の上の魔術師】途中まで 読みたいくせに 読んでしまうのが勿体無いような 錆びついた翼に注してもらうオイルみたいな

音読ボランティアを仕事とする母に勧めたら 現在【ブルータワー】を制作中とのこと 今まで誰も書かなかったに違いない比喩表現の感度 お洒落で省略の効いた文体のリアル 俳句を創る立場から ジェラシィを覚えるほど 搾りたての季節描写 ページを繰る毎に塗り変わる鮮明でクリアな映像 それら全てに優る強靭なメッセージが彼の作品には存在する 

   
  まだ波に揺られてゐるやうな朧   吟遊詩人