春の闇というものに想いを巡らせていると ロミオ&ジュリエットに巻き戻される 悲劇の中の喜劇 人間存在の愚かさ 
けれどあの悲劇は 理不尽に絶ち切られた生だからこそ 輝いて煌いて目を開けていられないほど眩しいのかもしれない たとえば早春の光のように 誰もが待ち望む 誰もが抱く 儚く切ない物語 
そう あまりに知り過ぎたメソッド故の既視感 いつしか観客は舞台を神の視点で俯瞰する ドラマシティという函が 選ばれた表現者の心のフィルターを通して たちまちグローブ座に置き換わる瞬間=永遠 
   
     確かめるやうに余寒の掌を重ね  吟遊詩人