もうひとつの漣

写生帖の上に無造作に乗せられたフレーム
恐らくPost cardを切り取って枠を残したのだろう
彼独自のトリミング
写生帖の上で この小さなフレームを動かしては
ベストの構図をあれこれ考えていたんだな

福田平八郎展の白眉。。。 群青の清々しさ 抽象ゆえのイメージの鮮やかさ 文様のような漣を見つめていると 水際が鼓動に重なってくる 彼にとって まず彩 それから輪郭 モノのカタチが顕れるらしい 
もう一度順路を遡って お気に入りを確かめるために フラフラ^^








鴛鴦 
鴛鴦のまとまりというか配置 さざ波の空間とのバランスが大胆で結構好き キィ〜ンと冷たい真冬の空気が戻ってくる感じ

初雪  そんなタイトルだった と思う。。
印象派みたいなピンクやブルーで雪を縁取る 降る雪も積もる雪も儚いなぁ だけど なにか心浮き立つ雪の日を思い出す仕掛け

鮎  だったっけ 多分。。
ひかりを感じる流れは まるで七宝の釉薬焼成したときの あるいは青磁の透明感 同じ魚のモチーフで 草河豚と鰈 だったか その草河豚がブリキの玩具みたいに可愛くて 巧まざるユーモアっていうのかな 遊びごころ あるねぇ彼は









茄子畑 だったと記憶。。
茄子畑から こっそり遁走するトカゲ ステージを去ろうとする役者みたいな存在感 だから〜キミは〜〜隅っこだけど 思いっきり目立ってるって^^ 

花の習作
動かないはずの絵に 微かな風を感じる 花びらたちが偶然あつまってつくる筏に落ちる影 シルエットって本当は紫だったろうか こういう斬新な断定こそが ときに俳句の切り取りにも通じる 気はする

雨  
タイトルが実にシンプルでねぇ 平八郎自身が書いているように たった今 屋根瓦についたばかりの雨脚が 生きものの足跡のように見えてくる ぽつぽつ濡れはじめた瓦のみを描いた画面構成 けれど ふいに雨の匂い 彼の絵の中では 時間が過去から未来へ流れ続けている 永遠の残像  










山桜の幹と葉っぱだけしか描いてないのに それだけで 透明な花びらを感じさせる  ホ〜ント溜め息モノ。。。 この絵の余白から鶯の谷渡りが聴こえたり どこかエレガントな永き日


摺り鉢の中のカラフルな蛤たちの印象は 彼の想い出とともに語られる その卒直な文章が 常の学芸員の解説がわりに添えられることで 創作対象への執着と試行錯誤を垣間見るような 極上の解説となっている  

竹 
このあいだ植物園で父が これは将に平八郎の筍やなぁ〜〜 なんて感じ入っていましたが 竹林の竹の浮き上がるオリジナルな文様といい 一本ずつの彩といい 大胆な構図といい 写生を突き詰めたところに 画家の主観としての抽象が存在するのだろうか 

それぞれのお部屋に 必ずひとつ以上 心惹かれる作品が待っている 広げられた写生帖には 彼の息遣いが感じられる 傍らでお話を聴いているような 時間がまた いつのまにか過ぎていて^^










鑑賞のあと 午後から四条で娘と待ち合わせ 待たせたから ちと機嫌ワル〜シ^^ ごめんごめん 途中で お茶目な通し鴨に逢ってしまってね。。 
娘は<環境とか才能とか幸運がすべて揃ってるから その人の一生が満ちたりたものなんて 端からは わからへん>などと ある意味 社会メディア的目線?で平八郎を分析 なるほど〜彼の目指すところが何だったのか 果たしてそれを達成できたのか 彼はなにかを摑んだのか それは誰にもわからないけれども 彼は幸福な画家だったと思う 彼の絵が語ってる それを見ているわたしまで幸せになれるような絵 

ちょっと載せてみたり^^










マイベスト3を挙げるなら 雨と桜と漣 でしようか^^
27日 漣の技法に迫るワークショップ 
なんだか面白そうだから足を運んでみようかな  
福田平八郎展  京都国立近代美術館  6/3まで
次回の企画 ディアギレフ〜舞台芸術の世界 6/9〜 これも是非行かなきゃ^^

〆切投函。。俳句upしました こっそり同時進行形で苦しかった今回^^ 感想いただけると ウレシイです♪
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