炎の流麗 火の粉の妖艶 その向こうに透けて見えるのは微妙に歪む熱情 闇と闘う為の激情 地の底から響く祝詞 火を煽り鎮める呪文のような その魔力に倦むことはない 
何故〝海〟の向こうから来た民が〝天つ神〟なのか 確かに茫洋と広がるたっぷりの海水を眺めていると空の彼方へと繋がっているような解放感がある 見るなの禁を山幸彦に破られたトヨタマヒメ 彼女が閉じてしまった〝竜宮〟の入口は〝黄泉〟への扉? 
封印された歴史の不思議を思い巡らすと かつて訪れた場所さえ異なる輝きを見せはじめる 八雲立つ出雲〜天の橋立 まほろばの葛城〜大和三山 退屈な通勤電車が渡る川の向こうには 野火を透かして佐保姫が佇っている
   
畦焼きの炎二手に分かれけり  吟遊詩人