ルドルフの肖像画に出遭った展覧会で エリザベートの旅に使われた小さな鏡に見入る 照明の具合か 鏡なのに そこにあるものをくっきりとは浮かび上がらせない モノクロの心象風景が映し出されているような錯覚 エリザベートを映していた鏡 彼女の深い絶望を知っている それ故にそこに自分自身の姿を映すのが怖かった 鏡の向こうから見つめられているようで 見るものの魂まで呑み込まれそうで そのくせ目が離せなくて