弥生三月半ば 東大寺のお水取りが済んで まほろばにも春の兆しが訪れるはずの一昨日 雪が舞った 
何年か前 菊水楼に宿りして 籠松明を観た大和の夜を想い出す 火と水の鎮魂 瞑がりの戒壇院を確かめながら歩いて戻る この闇の中でこそ四天王は闘い護ることに忙しいのかもしれない
お宿は旧暦のお雛さまで飾られ お部屋には ささやくように燭が運ばれる 翌日は晴れてあたたかな室生を逍遥 心の奥に仕舞った一枚のスナップ
   
      雛納め雛の匂ひの残る部屋   吟遊詩人