かってモリゾという画家がいた 性別女性 フランス印象派 あっさりした彩色のスケッチが眼を惹く たとえば 笛を吹く少女 野原の風の匂いがする 一寸ルノアールに似た雰囲気の〝桜の木〟 木に架けた梯子に乗って さくらんぼを摘む白いドレスの乙女 籠を高く捧げて待つ少女は 麦藁帽子 滴る緑の光と影 
翻って 44才のセルフ・ポートレイト 画家の真摯なまなざしに吸い込まれそう 常に〝先覚者でありなさい〟と言い続けていた英文法の教授みたい 果たして100年以上前の彼女の瞳に 今の私はどう映っているだろう 自画像の隅に描かれたパレット 〝生きている〟その一瞬の煌きを掬い取ったようなパレットの描写が衝撃的 
ある意味 変わらないことは偉大だけれど 変われることは もっと素敵  
   
          ひかるもの負へばひときは春鴎  吟遊詩人