春の黄昏はまるで舞台照明 透明なブルーのグラデーションが稜線と触れ合うあたりに ほんのりピンクの日の名残 ありふれた郊外のマンション群が近未来の異空間に変わるとき その炎を白く揺らめかせるのは木蓮 静かな舞踏 お気に入りのハルジオンの野原はすっかり更地となってしまったけれど 駅のホームで京都行きの電車を待っていたら ふいに鶯のアリアが降ってきた 久々に聴くモーツアルトみたい ところで あのキュッキュッと鳴らす鳥笛 永いこと使わないと 音の調子がなんだか良くない 発声練習を長い目に取ると 警戒を解いた鳥たちがぽろぽろと集まってくる