この季節になると想い出す人物 それは耳鼻科のドクター 慶応出のエリートには絶対見えない名物キャラ ナースの運ぶお番茶を徐にズズッと啜りつつ 何の前触れもなくケータイを私の耳に押し当てる なんだ?耳をすますと最新の花粉情報が流れ出す 
類は類を呼ぶとも言われるけれど 目だけしか出ていない大型のマスク 然も紐で結ぶタイプ その目の表情さえ実は読みにくい けれど患者の気持ちを解ってくれる なにより気持ちに寄り添ってくれる カルテの余白には 「俳句」なんて記されていたりする 不器用で愛すべきドクター 
先生の処方でないとお薬効かないんですけど お元気ですか
  
つちふるやアレクサンドロスの無精髭  吟遊詩人